「私のMacBook Pro 2015には、人生が入っている」
このパソコンじゃなきゃ、ダメなんだ。
重い。まるで鉛みたいに。
けれどこのコロンとしたスタイルが好きで、
手にフィットするカチカチ音も、たまらなく好きだ。
忘れもしない。
たしか昨年の2月。
Macを買い替えたくて、MacBook Airを購入した。
色に魅せられた。とても美しい色だった。
——しかーし。
二週間でメルカリに出した。
眺めるには良い。色も抜群。
でも、何も感じなかった。
やっぱり、私はこの“オールド”ノートじゃないとダメだった。
クラシックカーに乗る人の気持ちがわかる。
自分にしっくりくるものって、そうそうないって、やっと気づいた。
このMacは、以前バッテリーが膨らんだ。
「これはなんだ?」と思い、Macのサイトを見た。
ギリで修理可能とのことで、丸の内へ向かった。
東京駅からすぐのはずなのに、真逆の方向へ彷徨った。
外資系ホテルが立ち並ぶ、どこか他人行儀なエリアを歩きながら、
電話越しにMacの店舗スタッフに導かれて、ようやく辿り着いた。
大きなリンゴマークを見つけたときの安堵は、今も忘れない。
そこでは外国人スタッフが、
「画面も一緒に修理しますよ」と言った。
今思えば、新しい機械を買わせたい流れだったのだろう。
“バッテリー交換”のことには、一言も触れられなかった。
私もその可能性に気づかず、時は流れた。
今、このMacで作業している。
常に充電しながらじゃないと、動いてくれない。
「そろそろ、新しい機種を…」と思った。
でも、やっぱりこの子じゃなきゃ、ダメなんだ。
調べてみたら、信頼できる修理店があった。
保証つきで、中のデータもそのまま守ってくれる。
とにかく、丁寧。
私は、5月の提出が終わったら、この子を連れていこうと思う。
新しいパソコンは、確かに綺麗だ。
開いた瞬間、即起動もする。
けれど私のMacちゃんは、パスワードを入れなければ動かない。
寝起きでミスると、起動しない。
何度もやり直す。
「なぜ、こんなに長いパスワードにしたんだ…」と思うこともある。
でも、それも含めて、愛しい。
このMacは、やり手なんだ。
私は、これからも
自分に“しっくりくるもの”を大切にしていきたい。